データファイル
Project Canvasは、データをファイルに格納します。このデータファイル1つが、Project Canvasにおけるドキュメントの単位です。
Project Canvasのデータファイルの構成
データファイルは、標準では拡張子《*.pjc》のファイルです。このファイルの中に、線表ドキュメントが格納されます。このデータファイルを持ち歩けば、その線表データを持ち歩いていることになります。このデータファイルをバックアップすれば、その線表データをバックアップしたことになります。但し、線表データの一部に見えて、このデータファイルに含まれていないものもあります。
*.pjcファイルに保存されるもの
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*.pjcに保存されないもの(抜粋)
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■ 「段」に関する情報
■「列」に関する情報
■スケジュールに関する情報
■その他の図形情報
■「休日ルール」情報
■「プロジェクト情報」タブに表示される情報
■ルーラーの設定
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■ マスター休日情報(後述)
■ 色ルール情報(後述)
■ 前回そのファイルを開いた時の表示状態に関する情報のうち、レジストリに保存されるもの。フィルタの状態、段の表示・非表示の状態、段の展開/折りたたみ状態、スケールの値、スクロール位置など
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データファイルの拡張子
ファイルの拡張子は《*.pjc》以外に変更しても、読み書きは正常に行われます。しかし、Project Canvasは拡張子《*. pjc》をレジストリに「Project Canvas用のファイル」として登録するため、特別な理由がない限りデータファイルの名前は拡張子《*. pjc》としておいた方が便利です。Project Canvasがインストールされているマシンでは、拡張子《*. pjc》のファイルをダブルクリックするとProject Canvasが起動してそのファイルを開きます。オペレーティングシステム(シェル)は拡張子《*. pjc》のファイルを、Project Canvasのドキュメントアイコンで表示します。
Project Canvas ドキュメントアイコン
ファイルモード
ファイルモードは、Project Canvasを利用する上でとても重要な概念です。Project Canvasは2つのファイルモードでファイルを開き、操作します。ファイルモードは、いつでも切り替えることができます。
シングルモード
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一人で線表を作成する時に使うモードです。線表エディタとして専ら「表作成」にProject Canvasを使う場合、シングルモードが適しています。
このモードでは、ファイルにロックをかけ、排他的に開きます。そのためシングルモードでファイルを開いている場合、他のユーザー(又は他のプログラム)は同じファイルを開くことができません。また、「上書き保存」「元に戻す」「置換」などのコマンドが利用可能です。明示的に「上書き保存」「名前を付けて保存」されるまで、編集内容はファイルに反映されません。
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共有モード
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複数のユーザーが同じ線表を同時に開く可能性がある状況下で利用するモードです。グループウェア的な使い方に向いています。
共有モードでは、データに対する変更(スケジュールの追加など)が、即座にファイルに対して書き込まれます。ファイルを変更する直前に最新のデータを読み直しますので、複数人数で同時に編集していても整合性が維持されます。反面、データ編集時のパフォーマンスは、ファイルアクセスの分だけ時間がかかります。また、プロジェクト情報タブでの編集ができない他、「元に戻す」「置換」コマンドをはじめ、いくつかのコマンドは利用できません。
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共有モードはグループウェア的な使い方で、いつ誰がデータを開いて変更を加えるか分からない状況に向いています。線表エディタとしてワープロ的にデータを作り、それを回覧するだけの場合は、シングルモードで十分です。
ファイルモードを変更するには、「プロジェクト」タブの一番上の切り替えボタンを使います。最初にファイルを作成した時はシングルモードになっています。
共有モードでは、データを操作する直前に、最新の状態を読み込みます。その間に他のユーザーが編集していた結果が表示に反映されますので、線表の内容が突然変わったように見えることがあります。突然スケジュールが増えたように見えたり、段が増えたり、あるいは今から編集しようとしていたスケジュールが削除されている可能性もあります。
例えば変更しようとしたスケジュールが既に削除されていれば、先に行われた削除が有効ですので、「変更しようとしたらスケジュールが消えた」と感じることになりますが、これは正しい動作です。
このように、共有モードでは誤動作と錯覚するような動きをすることが起こりえますので、注意して下さい。
ファイルを新規作成したときは、「シングルモード」になります。新規作成したファイルは、名前を付けて保存するまで、共有モードに変更できません。ファイルモードは、ファイル毎に保存されます。ファイルを開くときは、前回そのファイルを閉じる直前に選択されていたファイルモードで開かれます。
ファイルの状態
ファイルを前回開いていたときの状態の一部は、次回ファイルを開いたときに復元されます。これは、ローカルマシンのレジストリに保存されます。従って、他のユーザーにまで反映されることはありません。また、この状態は「ファイル名ごと」に保存されます。異なるフォルダに同じ名前のProject Canvasデータファイルが存在する場合、この情報は共有されてしまいます。逆に、あるフォルダから別のフォルダにファイルを移しても、この状態のデータは維持されます。 保存されるのは、次の状態です。
■タブモードごとの、縮尺値(スケール)
■X方向のスクロール位置(日付単位)
■段の展開/折りたたみ状態(後述)
■段の非表示状態(後述)
■列の非表示状態(後述)
■印刷設定(用紙タイプ、向き、マージン、ページ書式など)
■スプリッターの位置(段見出しや列部の幅)
■負荷グラフの状態(高さ、上限値など)
Project Canvasは、ファイルを開いたときに出来る限り前回の状態を復元しよう試みますが、完全に復元できることが保証されているわけではありません。データは他のユーザーによって編集されているかも知れず、折りたたんでいたはずの段が子孫を持たない段に変更されていたり、表示期間が修正されている場合もあります。
用紙タイプについては、プリンタのプロパティで選択した用紙は保存されません。Project Canvas の印刷設定画面で選択した用紙の場合だけ、復元されます。
たくさんのファイルを扱っていると、この設定が増えて来ます。これらはレジストリに保存されるので、レジストリの肥大化につながることもあります。メインメニューの[ツール]→[ファイルごとの設定を整理]を実行すると、過去10日以上開いていないファイルの設定をレジストリから削除することができます。
ファイルのアクセス制限
ファイルには、「参照制限パスワード」と「編集制限パスワード」を別個に指定できます。パスワードが設定されていると、ファイルを開くときにこのパスワードを入力する画面があらわれます。
参照制限パスワード
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編集制限パスワード
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なし
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なし
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パスワードなしで開けます。
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あり
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なし
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パスワードが分からないと開けません。
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なし
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あり
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パスワードが分からない場合、読み取り専用で開きます。
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あり
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あり
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参照制限パスワードを入力した場合、読み取り専用で開きます。編集制限パスワードを入力すれば、普通に開けます。
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パスワードによる制限は、Project Canvasからの操作を制限するだけのもので、ファイルそのものをOSの機能で削除したり、別のプログラム(テキストエディタやバイナリエディタなど)でファイルを開き、解析したり改ざんしたりすることを防ぐものではありません。Project Canvasはデータを暗号化していませんので、たとえ参照制限パスワードで保護していても、スケジュールのテキストなどは他のプログラムから簡単に見ることができてしまいます。機密データの保護にはこのパスワード機能は向いていません。
一方、パスワードは一方向ハッシュに暗号化されて保存されますので、このファイルを解析することでパスワードが流出することはまずありません(総当たりで簡単に想像できるパスワードは除きます)。反面、パスワードを忘れてしまった場合には解析手段がありませんので、パスワードの管理には十分注意して下さい。
パスワードを設定しても、パスワードを設定する前からファイルを開いていてそのまま閉じていないプロセス(他のユーザーなど)に対しては、制限は有効ではありません。パスワードの確認は、ファイルを開くときだけに行います。